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葉月。

ちょっと大人になろうと思う。
だから、手紙を書いてみるよ。

よく晴れた空の下。
君を自転車後ろに座らせ、必死でペダルをこぐ。
  _
( ゚∀゚)「おー」

ζ(゚ー゚*ζ「町がどんどん小さくなっていくねー」

海から吹く風はまばらな雲を、さらに千切っていく。
  _
( ゚∀゚)「もうちょっとであの町ともお別れなんだな……」

ζ(゚ー゚*ζ「……うん」

大学4年の俺たちは、それぞれ別の企業に就職することになった。
デレは地元に、俺は遠く離れた企業に。

遠距離でする恋愛がどのようなものかは分からない。
それでも、俺たちなら大丈夫だと、根拠もなく思っていた。
  _
( ゚∀゚)「どこ行く?」

ζ(゚ー゚*ζ「おまかせしまーす」

結局2人で当てもなく自転車で旅をした。
日帰りの、とっても小さい旅。

日に照らされてアスファルトが歪む。
理不尽な社会を表わしているようにも見えた。

それを断ち切るように、進んでいた。



町に戻った時、辺りは夕焼け色に染まっていた。

帰り道の途中にある街路樹。
その下のベンチに2人で腰をかけ談笑をしていた。

このままこれが続けばいいのに。
いっそ時間が止まってしまえば――――。

なんて馬鹿げたこと考えていると、デレが不意に顔を曇らせた。
  _
(;゚∀゚)「どした?どこか具合でも――――」

ζ( ー *ζ「違うの……」

ζ(;、;*ζ「ちが……う、の」
  _
(;゚∀゚)「デレ……」

ζ(;、;*ζ「今日、すっごく楽しくて」

ζ(;、;*ζ「今までもすっごく楽しくて」

ζ(;、;*ζ「でも、もう少ししたら会えなくなるから」
  _
(;゚∀゚)「会えなくなんてないさ!長期の休みにはきっと」

確証のない言葉を並べる。
ひょっとしたらこれは嘘で固めたものかもしれない。

ここで、言葉を切ったらもう戻れない気がして。
ただ流れるままの気がして。

頬を伝う涙は地面に当たり砕ける。
そしてかすれた声が聞こえる。

聞きたくなかった言葉。

ζ(;、;*ζ「今から、ちょっとずつ距離を置こう」
  _
(;゚∀゚)「デレ!」

ζ(;、;*ζ「迷惑掛けたくないから、仕事を頑張ってるあなたの邪魔をしたくないから。
      綺麗事なのは分かってる。けど……」
  _
(;゚∀゚)「デレ……」

今日はもう帰るね。
鼻を啜りながらデレは背を向けた。

送って行こうなんて言えるはずもなく、ただその小さい背を眺めていた。
空は少しずつ藍色を増してゆく。



* * *

それからというもの、連絡をとる回数は徐々にだが減っていった。
諦めまいと連絡をするのに気づいたのはいつのことだろうか。

電話越しに聞こえる泣き声。
繰り返される謝罪の声。

聞きたいのはそんなのじゃない。
あの、みっともない俺を見て笑う声。

それが聞けないのがこんなにも辛い。
君と一緒にいた季節が、蜃気楼のように消えていく。

確かにあったのに、まぶたに焼き付いた季節が、確かにあったのに――――。


  _
( ゚∀゚)

電車を待つ間、少し前のことをぼんやりと考えていた。
これに乗ったら、もうこの町に帰ってくるのは当分先だろう。

もし未練があるというのなら、それはやっぱり――――。

「間もなく列車が……」

駅のアナウンスに従い、足を進める。
もう、お別れだ。
  _
( ゚∀゚)「……行きますか」

ボソリとつぶやいた直後、後から声をかけられた。

「ジョルジュ!!!」
  _
(;゚∀゚)「デレ!?」

ζ(;ー;*ζ「間に合った……」

肩で息をしながら言葉を放つデレ。
髪の毛はぼさぼさで、頬にうっすらと汗が見える。

ζ(;ー;*ζ「もう、きっとこれが最後だから……」
  _
(; ∀ )「……ッ」

ζ(;ー;*ζ「今、まで、ありがとう、ございました」

きっといろんな人に聞いて周ってたんだろうなぁ。
なんて考えてたら年甲斐もなく涙を流しちゃって。

結局列車を一つ遅らせることになった。


今まで話していなかった分、言葉が流れるように出てくる。
それは向こうも同じようで、時間まで目いっぱい話していた。

次の列車が到着するころには互いに目をはらして笑っていた。
そしたら、不思議とこの別れを受け入れることができた。


列車に乗る時、一度も振り返らなかった。
サヨナラと言いながら、手を振るのが背中越しに分かった。

そして、この町を離れた。
たくさんの思い出を作った、この町を……。





* * *

“突然の手紙 ごめんなさい。
 あの町を離れて4、5年になるのでしょうか。

 元気にやっていますか?

 手紙なんて似合わないと君は笑うかもしれません。
 
 少し前に、もう少しで母親になると聞きました。
 昔の君を想像すると、少し変な感じがします。

 だけど、それはとても嬉しいことです。”


  _
( ゚∀゚)「……」

そこまで書いて手を止める。
あれ以来、全くと言っていいほど連絡を取っていない。

そんな中、一つの噂が飛び込んできた。
それを機会に、一つ手紙を出してみようと思った。

何が嬉しいだ。
本当のところ、ちょっとつらい。

変わらないものなんてこの世にはない。
事実、周りはこうして変わっている。

なのに何も変わらない自分が悔しかった。
本音をぶつけてやろうと書いてはみるけど、結局は屑籠へと飛んでゆく。
  _
( ゚∀゚)「……」

“こっちは、ようやく暮らしにも慣れ、
 毎日忙しくもあり、それなりに充実しています”

再びペンが止まる。
何を強がっているんだろう。

くしゃくしゃと紙を丸め、壁に投げつける。

どれだけ一生懸命働いたって、
どれだけ汗水たらしたって全然物足りない。

神様はいるのだろうか。
いるのならば、殺すとまではいかなくとも、文句の一つでも言ってやりたい。

シンクに溜まった洗い物を片付け、窓に目をやる。
夕日が部屋に差し込み、一日の終わりを実感させる。


手紙に書く嘘で固めた自分。
君ならすぐに嘘だと気付きそうだ。

今思えば、なんでもっと君に言葉をかけてやれなかったんだろう。
いつだって傷つけないようにしてきた。

だけどそれは、結局のところ自己防衛でしかなかったのかもしれない。
本当のことを言わない俺。

君はそれに気づいてたのかもね。
だから、不安になったのかな。

だから――――。

だったら――――。

  _
( ゚∀゚)「よし」

出すか出さないかは別として、とりあえず手紙を書いてみよう。
最後まで、ありのままを言葉にしてみよう。
いまさら遅いのは分かっている。

でも、これを書けたら、心の靄が晴れる気がして。


“突然の手紙、ごめんなさい――――。”


いつか大人になったら引き出しの奥から引っ張り出そう。
その時は、きっと笑って読み返せるはずだ。


END



<あとがき>

規制のためブログ内で投下
AJISAIと言うアーティストの、「はづき」「手紙」をブーン系にしてみました










2009.12.25 Fri l きまぐれ短編 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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