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死者が訪れるバー。
そこが舞台の、ささやかなお話。




从 ゚∀从「元気にしてるか?」

扉が開かれる音とともに、なじみ深い顔が入ってくる。
ラフな格好からは想像できないが、彼女は一応「神様」だ。

<この世>から見た天国を管理する者。
それが神様、名前はハイン。

単純に言えば凄く偉い。

川 ゚ -゚)「まあな」

面倒臭そうに返してはいるが、内心は嬉しい。
こうして自分を気遣っていてくれるのだから。

从 ゚∀从「仕事の方は?」

川 ゚ -゚)「特に問題無い。しいて言えば暑いぐらいだな」

いま<この世>は夏。
太陽が白く輝き、若い緑を照らす季節。

从 ゚∀从「だったら暑さを消せばいいだろ?」

呆れたように言うハインに苦笑いを返す。
自分で暑さを消さないでおいて文句を言うのだから可笑しなことだろう。

それでも、消さないのには理由があった。
死んでいる者たちからすれば、馬鹿馬鹿しいと思えるような理由。

少しでも人間らしくいたい。
こんな理由。

こんな理由でも、この仕事をする私にとっては十分なものになりえた。

从 ゚∀从「夏、だもんな・・・」

煙草の煙をゆっくりと吐き出し、ボソリと呟く。
何か考え事をしているようで、そうでないような。

そこから再び世間話のようなものに入る。
ほとんどがハインの愚痴なのだが。

そんな事をしていると、カウンター裏の引き出しに書類が入った。
そう、この店を必要とする者が来たのだ。

ハインはそれに気がつくと、すっと立ち上がり、パチンと指を鳴らす。
そして、折りたたまれたメモ用紙をカウンターに投げつけた。
彼女は扉に向かい歩きだす。

ドアノブに手を掛け、背をこちらに向けたまま言葉を放つ。

「この時期って言えばさ、死者が<この世>に帰る時期、なんて言われてるよな。
 実際には帰ってない、というよりも干渉すら出来ないんだけどな」

たった一人を除いては、と付け加えて彼女はバーを後にした。

川 ゚ -゚)「たった一人・・・か」

手にした書類に目を落としぼんやりと口にする。
暫くすると、一人の男性がやってきた。

そして「ある男」と同じように説明をする。
その時は、まさか自分がこんなことになるとは予想もしていなかった。

命の恩人、とでも言うのだろうか。
死んでいるのにその言葉も変なものだ。

しかし、そうとしか言い表わせない。
それほどのものだ。

一通り説明を終えて、目の前の男性と目を合わせる。

彼の眼は優しげなものではなかった。

川 ゚ -゚)「それでは――――」


          ご注文をどうぞ。
 




* * * * *

川 ゚ -゚)「こんなものか」

足元にある死体に背を向ける。
死に顔は歪んでいて、言葉は悪いが、醜いという表現が最も合っていた。

何の考えなしにポケットに手を突っ込む。
すると、指先にこつりと何かが当たる。

川 ゚ -゚)「ん?」

出てきたのは折りたたまれたメモ用紙。
先程ハインに渡されたものだ。

それを丁寧に広げると、描かれていたのは地図。
目的地は自分のいる場所から離れてはいなかった。

そしてその目的地――――。

川 ゚ -゚)「そういうこと・・・か」

依頼者には悪いが、お見送りはできなさそうだ。
少し寄るところができてしまったから。

私は目的地に向かい歩きだしていた。





川 ゚ -゚)「ここか」

ついた場所は寺。
かなり大きなもので、多くの墓が並んでいる。

その中から目的の墓を見つけ出した。
そこには、今はもう会うことのできない者が眠っている。

川 ゚ -゚)「ハインも来たかっただろうな」

自分が行けないからこそ、私に託したのだろう。
本当は誰よりも会いたいだろうに。

目の前で手を合わせ、ゆっくりと目を閉じる。
時たま吹く風が髪を揺らしているのがわかる。

川  - ) (私もハインも元気にやってるよ。そっちはどうだ?)

心の中で言葉をかける。
当たり前だが返事は返ってこない。

川 ゚ -゚)「さて、帰るか」

再び風が吹く。

そして、本当に偶然だ。
風の行方が気になり、その場に留まって、振り返る。

そこに立っていたのは、自分の腰の高さほどの少年。

会ったことはない。
見たことも。

だけど、確かに知っていた。
それが誰なのかを。

川  - )「・・・ン」

気がつけば、涙が溜まっていた。
まともに名前すら呼べやしない。

少年は少し不思議そうにしながらも歩み寄ってくる。

(`・ω・´)「お姉ちゃん、泣いてるの?僕のせいだったらごめんなさい」

申し訳なさそうに聞いてくる少年。
違う、君が悪いんじゃないんだ。

君が原因だけど、そうじゃなくて。

やっとのことで「君のせいじゃない」と言えた。
そして、そっと屈み、少年と目線の高さを合わせる。

(`・ω・´)「お姉ちゃん、苦しい・・・」

思いっきり抱きしめる。
苦しいのはわかる。
でも、ゴメン。

もう少しだけ。
自分勝手なのは解ってるんだけど、どうしようもなくて。

そして、最後に一言伝えるんだ。
やっとで意味のわかったたった一つの言葉を。

君は解ってくれるだろうか?

この言葉は、大切な人にしか言えないんだ。
だから君に言うよ。

ショボン、少年、ありがとう。

    「君には二度と会いたくない」

その言葉を口にして、私はそっと少年から離れる。
困惑する少年にそっと微笑み私はその場を後にした。

蝉がうるさく鳴き、太陽が照りつける。
風が吹けば緑が揺れた。

そんな季節に、再び会えた。
もう会うこともないと思っていた人に。



* * * * *

店に帰ると、またしてもハインがいた。

从 ゚∀从「元気にしてるか?」

本日二度目の質問だ。
その言葉に呆れつつも、私は朝と同じ返答をしてやる。

川 ゚ー゚)「まあ、な」

从 ゚∀从「・・・」

从 ゚ー从「元気そうで何よりだ






ここは恨み代理店。
そんなお店の、少し優しいお話。



(´・ω・`)の恨み代理店のようです  番外編

                          改め



       川 ゚ -゚)は二度と会いたくないようです END




2009.04.08 Wed l きまぐれ短編 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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